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オールドタイミー音楽とブルーグラス (1)

オールドタイミー音楽とブルーグラス (1)_c0032583_2281792.jpg米国へ行く前は、「オールドタイミー」と言われる音楽とブルーグラスというのは、非常に近いものなのだろう、と想像していたのですが、音楽的な関係は深いものの、実際は、やっている人も曲も演奏方法も相当違うようです。

そもそも、「オールドタイミーとは何か」、ということも厳密な定義は難しいのでしょうが、ここでは、ブルーグラスやケルティックと同様、あちこちでオールドタイミーと称して、いろいろなジャムやギグが開かれており、そこで私が実際に耳にした音楽と演奏者達のことを申し上げています。(上の写真は、オールドタイミーで一時すごい人気を博した The Freight Hoppers のCDです。彼らはどうしたんだろう?)

あくまで、私の経験の範囲内でのことですので、米国全体でこのようなっている、ということではないかもしれません。私自身は、オールドターミーに非常に興味があるのですが、米国にいる間では、十分に全体像が分かる程の経験を得ることはできませんでした。どなたかお詳しい方がいらっしゃれば、是非、ご教示ください。

さて、私の感じでは、一言で言うと、「オールドタイミー」という音楽は、ブルーグラスとは似て非なる音楽で、一見すると同じように思えるのですが、全く違うものだ、ということです。演奏する曲も、ブルーグラスでやっているものと同じ題名のものが結構あるのですが、聴いた感じは随分違います。

まず、演奏する人同士が、あまり混じりあいません。というより、ありていに言うと、オールドターミーの人達と、ブルーグラスの人達は、反目し合っているようなところがあります。勿論、両方のジャンルを演奏する人も居るので、両刀使いの人も居ます。

オールドタイミー音楽とブルーグラス (1)_c0032583_2220365.jpgオールドタイミーの人達は、ブルーグラスに対してある種のインフェリオリティー・コンプレックスを持っているようです。ブルーグラスの方が、テクニック的にも難しく、やりたいけれどついて行けない、というところもあるようです。これに、ブルーグラスは、もともとは、オールドタイミーから派生したのだ、という本家本元意識が係わって、結構、複雑な感情があるようでもあります。

ですから、ジャムでも、まず、この2つのグループは、別々に固まります。これは、これまでお話してきた Baggot Inn のジャムでも、あるいは、Nyack とういう町で開かれていたジャムでも全く同じでした。

オールドタイミーのジャムの特徴は、アイリッシュの場合と同じで、同じメロディーを全員で延々と演奏する点です。それなので、周りで聴いているだけだと、「同じメロディーを皆でずっと弾いていて何が楽しいのか」、と思ってしまうのですが、これが、やってみるとだんだんと恍惚感に浸ってきます。

その上、同じメロディーを全員でずっとやってくれるので、新参者にとっても曲が覚えやすくできています。新しい曲でも、何回もやっているうちに覚えますから。

しかし、このジャム演奏の仕方の違いや曲の違いは結構大きく、私は、ブルーグラス側に居ることが多かったから分かるのですが、ブルーグラス側の人間は、オールドタイミーの人たちのジャムを煙たがっているところがあって、「早く終わらないか」と思っていたりします。

(つづく)

  by kasninoyh | 2005-03-19 11:20 | 身勝手ブルーグラス論

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