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Jethro Burns が世界一のマンドリン奏者と呼んだ Dave Apollon

Jethro Burns が世界一のマンドリン奏者と呼んだ Dave Apollon_c0032583_23281525.jpgDave Apollon というマンドリン弾きをご存知でしょうか。

この人は、1920年代から50年代にかけてアメリカで活躍した人ですが、本当にすごいテクニックの持ち主です。まちがいなくクラシック音楽がベースですので、まったくブルーグラスとは関係がありませんが、ジャズの曲も取り上げ、即興演奏もしています。

もともと、ロシアのキエフ出身のユダヤ系の人のようですが、アメリカに出てきて、マンドリンのグループを作り、ニューヨークでもショーをやっていたようです。

このCDは、David Grisman がプロデュースしていますが、Dave Apollon の演奏の貴重な録音が2枚のCDに収められています。

以前、Jethro Burns のCDをご紹介しましたが、その Jethro も、「誰が一番偉大なマンドリン弾きか?」との問いに対して、「Dave Apollon だ」と答えたそうです。

このCDには、ロシア民謡やジャズのスタンダード曲が収められています。どれも、1つ1つの音がとてもきれいに弾かれています。どんなにスピードの速い曲でも、その正確さは変わりません。すごい天才なんですね。

Grisman ばかりでなく、Sam Bush も Dave Apollon について研究していて、実際、Apollon の演奏のコピーを自分のCDに納めています。Sam Bush の Late As Usual という1987年に出されたアルバムに入っている Russian Rag という曲がそれです。

この Rassian Rag は、Sam Bush と Mike Marshall がオーバーダビングを13時間やって、Apollon が1932年に録音したマンドリンオーケストラによる演奏の録音を再現したもので、とてもユニークなものです。

同じく Sam Bush が書いているマンドリン教則本、"Sam Bush Teaches Mandolin Repertoire & Technique" にも、この Russin Rag の主旋律についての楽譜が掲載されています。

CDカバーをご覧になるとわかるように、Apollon が使っているのが、ギブソンのFスタイルフラットマンドリンであることも、アメリカらしいところかもしれません。

ご承知のように、1900年代の初めに、アメリカではマンドリンの一大ブームがありました。その当時のマンドリンオーケストラの写真を見ると、使っている楽器が、楕円形の穴と渦巻きのついたギブソンF2スタイルのデザインで、マンドリンはもちろん、マンドラ、マンドセロ、ベースまであって、ラウンドバックのイタリアンスタイルのマンドリンオーケストラを見慣れている者にとっては、異様な感じがします。(現在でも、アメリカのマンドリンオーケストラは、このフラットマンドリンを使っているところもあります。)

しかし、とにかく、この Apollon の演奏する Stardust や Begin The Beguine、あるいは Two Guitars 等は、正確無比かつスピーディーで、今聞いても本当にすばらしいものです。

  by kasninoyh | 2005-04-15 23:26 | CD・DVD・Podcast

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