ワンマイクの良さ

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★↑オリエントエクスプレスのワンマイクでの演奏。ニューヨーク北部のオッシニングのカフェにて。


ブルーグラスは、生のライブ演奏のパワーが魅力の1つだと思います。聞いている人の前で、実際にアコースティックの楽器を弾いて歌うということで、演奏者の実力がそのまま伝わるライブ性とその活きの良さが身上です。

ところで、その生のライブ演奏ですが、少し大きめのステージでやるということになってくると、ステージ上でのマイクの使い方が、「活きの良さ」を引き出せるかどうかの鍵を握ることになります。

ステージで演奏してみると、とにかく、自分達が弾いている音がどのように聴衆に聞こえているのか、全くわからず苦労された方も多いかと思います。もちろん、そのために、プレーヤー用のモニタースピーカーが備えられていることが多いわけですが、その場合でも、実際には、モニタースピーカーによって自分達の演奏状況を掴むことは、非常に難しいものです。

その上、たとえ演奏状況が分かって、まずいところを調整しようとしても、横に並んで、各自が1本づつ(あるいは楽器用も含めて2本)のマイクに向かって演奏していては、お互いに意思を疎通しあって調整する、ということは、ステージの上では困難に等しいことです。

それで、演奏をする前のマイクチェックやミキシングチェックがとても重要になるのですが、そのようにお膳立てすればする程、生の演奏の良さ、ビビッドさ、活きの良さが失われてしまいます。

更に、「1本の自分専用のマイクに向かって歌う」という場合には、マイクを通して「良く聞かせる」ために、それなりのテクニックを使うことになります。歌唱法が微妙に変わるわけです。マイクの前では、あまり声量を上げる必要もないし、声量を上げすぎると、綺麗にきこえません。

逆に、小さな音まで拾われてしまいますので、ちょっとした音程のずれ、歌の延びの部分の不安定性、ハーモニーのずれ等が明瞭にわかりますので、タイトなボイスコントロールが必要です。これは、伝統的なブルーグラスの歌い方とちょっと合わなかったりします。ハーモニーを付けた場合、各人の声量の違いもステージ上では、調整が難しいものです。PAがしっかりしていれば、この辺はその場で調整してくれるわけですが、いつもしっかりしたPAが居るというわけでもないと思います。

こういうことを考えると、デル・マッカリー・バンド等が採用している「ワンマイク方式」は、これらの欠陥をかなり補完してくれる方法で、臨場感をうまく捕らえられるやり方ではなか、と思います。

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1つの無指向性マイクの前で、バンドのメンバー全員の声をお互いに聞きながら、それをそのままマイクに乗せることができますので、どのような音が聴衆に響いているのか、がわかります。お互いの声や楽器の演奏が聞こえていますし、お互いの顔を見ながら演奏しているので、相互の合図によって調整もしやすく、声を張り上げるような歌い方でも、わりと自然に聴衆に伝わるような感じがします。

しかし、これは、無指向性マイクが演奏している全ての音を拾ってくれている、という前提でのことですので、マイクの性能に相当左右されるようですし、これまでの経験だと、ハウリングなどを起こした時の調整が難しいようです。

楽器も音量の違いが相当ありますので、バンジョー等はどこで弾いていても大丈夫かもしれませんが、マンドリン等音量の小さな楽器は、苦労します。それで、楽器ソロ演奏用に1本別のマイクを用意することもいいのかもしれません。もちろん、ベースは、別の専用マイクが必要です。

私自身もワンマイクで演奏した経験はそれ程ないのですが、PAを期待することができないアマチュアバンドとしては、充分検討に値するやり方ではないかと思っています。(もし、この辺のことをよくご存知の方がいらっしゃれば、ご教示ください。)
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  by kasninoyh | 2005-04-27 22:42 | ブルーグラス演奏

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