ブルーグラスの魅力 (その4)
<皆でワイワイやりながら楽しむ>
ブルーグラスは、基本的に、「参加しながら楽しむ」「やりながら楽しむ」タイプの音楽だと思います。自ら参加するところに魅力があります。
必ずしも楽器の演奏や歌で参加するだけではなく、ダンスでもいいし、身振りでもいいし、手拍子でもなんでもいいのですが、一緒に、音楽に溶け込んでいく楽しさがあります。
これも逆を言うと、クラシック音楽のコンサートのように、一方的に聞くだけでは、ブルーグラスの良さの全部は分からないということでもあります。
例えば、Wheel Hoss なんて曲をCDだけで聴いて、すぐにものすごく好きになる、という人は、そうそういないでしょう。「なぁんだこの曲、単調でおもしろくないメロディーだな」、くらいの感じを持つのが、ごく標準的な反応だと思います。
かくいう、私自身がそうでした。
もちろん、ブルーグラスは以前から好きだったのですが、フラット & スクラッグスのような、どちらかと言えば、メロディーもメージャーで明るく、楽器の演奏もはっきりしているタイプがブルーグラスだ、と思っていました。後になってから、ブルーグラスの父と呼ばれるビル・モンローの曲を聞いても、なんか古臭い、という感じが強く、好きな曲も勿論たくさんありましたが、Wheel Hoss だの Big Mon だのといったインストは、今一つピンときませんでした。
これらの曲が「本当にいいなぁ」、と思えるようになったのは、相当後になってから、ニューヨークのオープンジャムで、Wheel Hoss なんかを、夜中まで、皆でワイワイ言いながら弾くような経験をしてからです。このあんまりおもしろくないメロディーの曲が、ジャムの中では、皆の熱狂を引き出すようなリズムと乗りをもたらしてくれるのです。
ブルーグラスは、やっぱり、このような「民謡」的な部分をたくさん含んでいます。実際に演奏に参加しないと、本当の良さは分ってこないタイプの音楽なんでしょう。
by kasninoyh | 2005-02-20 01:38 | 身勝手ブルーグラス論