ビル・モンローの壊されたロイド・ロアー復元の話:2本のロイド・ロアーが破壊された?

c0032583_10453815.jpg

(↑穴の開いた表版の裏側。トーン・バーがしっかり残っているのがはっきり分ります。)


先月は、初めてギブソンのロイド・ロアーに対面することができました。

そのついでと言ってはなんですが、今日は、ビル・モンローのあの有名な破壊されたロイド・ロアー復元」のお話です。

これは、もう良く知られた話ではありますが、あの時、ビル・モンローは、実は2本のロイド・ロアーを破壊された、ということはご存知でしたか?

でも、復活できたのは、1本だけだったのです。その運命を分けたのは何だったのでしょうか。

事件は、1985年の11月13日に起こりました。

ビル・モンローは、昼食を妻の Della (何人目の妻でしょうか。3人目?)と取った後、別々に車に乗って帰宅したのですが、最初に自宅に着いたのは Della の方で、彼女が最初に壊されたマンドリンを発見したのだそうです。

そうです。あの 1923年製の Lloyd Loar Gibson F-5 マンドリン(シリアルナンバー73987)です。

それに、もう1本のロイド・ロアーも壊されてしまったのです。

犯人は、暖炉の火かきでマンドリンを打ちのめしたようです。マンドリンの他に、ビルと兄のバーチの移った写真に穴が開けられており、ビルの農場のスケッチも壊されていたそうです。

この頃、ビルに対しては、いろいろと暴力沙汰や脅迫事件などが続いていました。恨みを持った人間の仕業だったのでしょうが、犯人は突き止められていません。

c0032583_11583051.jpg


さて、壊れた2本のマンドリンは、その残骸とともに、ギブソンの職人の Charles Derrington の元に運ばれました。

そして粉々になった木片をつなぎ合わせて元のマンドリンに戻した...というのが有名なお話ですが、どうしてそんなことができたんだろう、とずっと不思議に思っていました。

いくらなんでも、ばらばらになってしまっていたら、復元は難しいですよね。まして、あのデリケートな音色まで戻るというのは、なかなか考えにくいです。

ということで、やはり、復元できたのは、壊され方が良かった(?)ということだったようです。

1923年のロアーの方は、表版に2箇所、バターナイフ状の大きな穴が開いてしまっていたのですが、一番上の写真にあるように、トーン・バーはまったく壊れていなかったので、復元が可能だったそうです。

c0032583_1159889.jpg


もう1本のロアーの方は、表版の損傷は少なかったのですが、トーン・バーが壊れてしまっていて、復元はできなかったということです。

それにしても、破壊された2本のマンドリンの残骸を集めて、識別して、1つ1つ接着剤でつないでいった、というのですから気の遠くなるような作業です。

ともかくも、1923年のロアーはみごと復活して、1986年2月25日に、ビル・モンローの元に戻ってきました。

この素晴らしいリペアーをした Derrington は、2006年に交通事故でなくなっています。51歳でした。(ということは、このリペアーをした時は、20歳前後の若手だったんですね。)

c0032583_11592476.jpg


(写真の一部は、Mandolin Archive からコピーさせていただきました。)
[PR]

  by kasninoyh | 2008-07-22 22:44 | ビル・モンロー探求

<< 今年の宝塚フェス Surf & Turf のこん... >>

SEM SKIN - DESIGN by SEM EXE