カテゴリ:ブルーグラス・音楽の本( 6 )

 

日本人プレヤーが書いたカントリー音楽の本:「音楽から見える「アメリカ」」



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マイク伊藤という方をご存知でしょうか。

私は、この方の本を本屋で偶然見かけるまで、全く知りませんでした。

その本の題名は、「音楽から見える「アメリカ」-カントリーウエスタンとともに40年」です。

マイク伊藤氏は、東京で生まれ、大学で5弦バンジョーを弾き、卒業後ブルーグラス音楽に憧れてアメリカに渡って彼の地でバンジョー、フィドルのプロとなり、現在は、ミズーリ州のブランソンの劇場の専属プレーヤーとして活躍しているという人です。

この略歴を見ただけで、まるで夢のお話を聞いているようです。

実際、YouTube には、ブランソンの劇場 Baldknobbers でフィドルを演奏している伊藤氏の映像を見ることができます。



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この本は、単身、何のコネもなくアメリカに渡り、ブルーグラスやカントリー音楽を演奏するプロになっていく様子が書かれています。

私としてはめずらしく、一気に読んでしまいました。

伊藤氏が言っているように、アメリカは能力のある人、実力のある人には、かなりオープンに受け入れてくれるところがありますが、競争も激しいし、その地位を維持していくだけでも大変だと思います。

とにかく英語がわかるだけでもすごいですよね。いくら楽器の演奏ができても、バンドメンバーからの指示やお客さんの反応など、ことばがわからなくては、話になりません。

私も、アメリカで少しだけジャムをやるにしても、英語でいろいろ言われてわからいことだらけ、という経験をしました。

その上、この本のおもしろいところは、アメリカ文化、それと比較した日本文化についての観察本にもなっているところです。

アメリカ人の人との接し方や、ショービジネスの裏側、ブランソンという町がカントリーの中心地となっていく発展過程、アメリカ人のリタイヤ生活、食べ物や宗教、そして人種問題まで、実際に長い期間生活されて体験されたアメリカ経験が凝縮されています。

すごい日本人がいるんですね。

ところで、私は、ブランソンという町もあまり知りませんでした。タブチさんという日本人のフィドラーが劇場を持っていてすごい人気だ、という話をちょっと聴いたことがあるくらいでした。

こんなカントリー音楽だらけの街があるんですね。浅学でした...
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  by kasninoyh | 2010-08-07 21:21 | ブルーグラス・音楽の本

The Bluegras Music Cookbook

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今日は、ちょっと変わった本をご紹介します。"The Bluegrass Music Cookbook" です。

この本は、1997年に出ているのですが、その名の通り、料理のレシピーが書き連ねられている本です。

ただ、そのレシピーは、ブルーグラスミュージシャンから聞いた、彼らの得意な料理の作り方なのです。本当に、各人から聞いたのかどうか分らないのですが、もし本当なら、相当な数のミュージシャン(180名だそうです)から聞き取りしています。

料理のレシピーと作り方もおもしろいのですが、この本の素晴らしいところは、ミュージシャンについてのたくさんの写真と活動についてのコメント、ゴシップ等、いろいろな雑情報がいっぱいつまっているところです。

たとえば、有名なミュージシャンの誕生日などは調べるのが大変ですが、この本には、まとまって出ていますし、主要なプレーヤーについて、その活動が簡潔にまとめられています。

私にとっては、レシピーはあまり役に立たないのですが、この雑情報と写真は、見ているだけで楽しいし、非常に重宝しています。
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  by kasninoyh | 2006-06-05 23:20 | ブルーグラス・音楽の本

アメリカン・ルーツ・ミュージック-楽器と音楽の旅

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今日取り上げるのは、ブルーグラス関係の本で、奥 和宏著「アメリカン・ルーツ・ミュージック-楽器と音楽の旅」です。

この本は、2004年に出ているようなのですが、ごく最近本屋で見つけて早速買って読みました。

著者の奥 和宏氏は、ご自身のサイトも持っておられて、主にマンドリンを中心にいろいろな情報がアップされています。私も、よく目を通させていただいています。

この本は、著者の広く深いアメリカ・ルーツ音楽についての知識をベースに、副題の通り、楽器を中心にして、いろいろなルーツ音楽のルーツを解き明かしてくれます。
この本からは、以前から疑問におもっていたことについて、いろいろなことを教えてもらいました。

例えば、アメリカで20世紀の初頭にマンドリン・ブームがあったことは有名ですが、当時、イタリア型のラウンドバックのマンドリンではなく、フラットマンドリンで普及した経緯や、ギブソンF5で有名なロイド・ロアーの存在というのは、マンドリン製作者というのではなく、現在の「サム・ブッシュ・モデル」のように、当時有名だった演奏家とそのシグニチャー・モデルのようなものだったのではないか、という推測等、「ああ、そうなのか」と思わせるところがたくさんあります。

アメリカでは、マンドリン・オーケストラのブームばかりでなく、バンジョー・オーケストラのブームもあったんですね。

楽器を中心にルーツ音楽を解剖していくのは、楽器を触っている人間にとっては、大変、興味の尽きないアプローチです。

私としては珍しく、思わず一気に読んでしまいました。
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  by kasninoyh | 2006-01-03 22:21 | ブルーグラス・音楽の本

Chicken Soup for the Country Soul:マーティー・スチュアートの話

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今日のブルーグラスに関する本のコーナーで取り上げるのは、"Chicken Soup for the Country Soul" という本です。

アメリカで大変なベストセラーになっている Chicken Soup for the Soul シリーズの一冊です。

日本でもいくつかは翻訳されているのかもしれませんが、この Chicken Soup for the Soul シリーズは、ちょっといい話、感動する話、心が洗われる話などを集めた本で、たくさんのシリーズが出いています。

例えば、Chicken Soup for the Teenage Soul とか Chicken Soup for the Woman's Soul とかです。

英語もとても平易ですし、内容はちょっとホロッとさせられるところがあり、なかなか楽しい本です。うちの娘も、結構たくさん読んでいました。

今日取り上げた Chicken Soup for the Country Soul は、このシリーズのカントリー音楽版で、たくさんのカントリー歌手が、自分が感動した経験などを2、3ページずつのエッセイにしています。ちょっとしたCDもついています。

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カントリー歌手ばかりでブルーグラス関係は非常に少ないのですが、その中で、唯一、マーティー・スチュアートが、13歳でレスター・フラットに後見をしてもらって、ミュージシャンとしての人生を歩み始めた頃のことを寄稿しています。(エッセイの表題は、"In the Footsteps of a Good Man" です。)

マーティーは、10歳ぐらいの時から、ブルーグラスやカントリー音楽が大好きで、特に、レスター・フラットに憧れて一緒に演奏することを夢見ていたそうなのですが、いろいろな幸運もあって、ついにレスターに認められ、音楽の世界にのめり込んで行きます。

ところが、一方で、学業の方はまったくだめで、ついに放校になってしまいました。

それでも、マーティーは、むしろそれを喜んで、レスターのツアーに参加したりしていたのですが、当然のことながら、マーティーの両親は大反対していました。

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そんな時、レスターは、マーティーの両親と合い、マーティーへの給与は、一部を除いてちゃんと銀行に積み立てていくこと、学校はちゃんと終了できるようアレンすること等、マーティーの面倒をしっかり見ることを約束し、両親を説得してくれたのだそうです。

マーティーの両親も、もちろん、レスターのことは知っていますし、非常に信用できる人柄であったこともあり、結局、このオッファーを受け、晴れてマーティーのミュージシャン生活が正式に始まったのだそうです。

マーティーは、レスターのことを "a man of integrity, a man of his word" と表現しています。

このようにレスターのような人が後見していくことで、マーティーのような素晴らしいミュージシャンが若いときから活躍できたのでしょう。

音楽の世界はどこも同じなのかもしれませんが、ブルーグラスの世界では、このような若手を育てよう、引き立てよう、という伝統があるように思われます。

例えば、ロンダ・ビンセントなども、チェリーホームズのモーリー・ケイトを非常に引き立てています。最近出たライブDVDにも出演させて、彼女の左弾きの素晴らしいフィドルを披露させています。(ちなみに、このモーリーも、年は13歳だそうです。)

アメリカのジャムなどでも、非常に若い子供達を暖かく迎えるところがって、とてもほほえましく感じます。ロックなどの音楽では、ドラッグの問題があったりして親が積極的に子供を送り込むというようなことは少ないと思いますが、ブルーグラスの世界では、親が子供と一緒にジャムに来る、というようなことは結構あります。

日本にもこのような伝統が根付けばいいですね。ブルーグラスは、ファミリー音楽の要素を強く持っている音楽です。



---- If you're dedicated, if it's something that lives and breathes in your heart, then you've simply got to go ahead and do it. (Rodney Crwell)

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  by kasninoyh | 2005-10-23 00:10 | ブルーグラス・音楽の本

三井徹著:「ブルーグラス音楽-草の根のアメリカ白人音楽」

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この三井 徹著の「ブルーグラス音楽-草の根のアメリカ白人音楽」という本は、私が持っているブルーグラスに関する本の中で、一番古いものです。

発行が昭和50年(1975年)で、私が買ったのが、1978年2月5日となっています。どうやら札幌で買ったようですが、この時にはもう東京で就職していたので、最初の帰省の時にでも買ったんでしょうか。

またまた、古いものを持ち出してすいません。

どうも全部を読んだ気配はありませんが、ブルーグラスの歴史と、当時の主要なプレーヤーの経歴、主要な曲やレコードなどが詳細に記されていて、写真もあって、久しぶりに見ると資料的な価値はあるのかもしれません。

日本のブルーグラス・グループについても若干触れていて、「ブルーグラス45」や「ロスと・シティー・キャッツ」の渡米活動などについても記載があります。

私にとっては、主要なブルーグラス・グループの名前を教えてもらった記念すべき本ではあります。
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  by kasninoyh | 2005-08-08 22:58 | ブルーグラス・音楽の本

音楽の本:小室等著「人生を肯定するもの、それが音楽」

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今度は、少し、ブルーグラスに関する本について、つれづれを綴ってみたいと思います。とは言っても、ブルーグラスだけでは、すぐネタ切れとなってしまいますので、少し広げて、音楽についての本を取り上げて行きたいと思います。

★   ★   ★   ★

第1回目は、ブルーグラスではないのですが、日本のフォークソングの草分けである、小室 等さんが書いた「人生を肯定するも、それが音楽」です。岩波新書なんで読まれた方も多いのではないかと思います。

小室さん(...と「さん」付けで呼んでいますが、別に個人的に知っているわけではありません)が人生の中で会ったいろいろな人について、その出会いを綴った本ですが、なかなか味わい深い本でした。

ことばの師としての谷川俊太郎、音楽の師としての渡辺貞夫。ニューヨークで会ったオデッタピート・シーガー。偉大な作曲家の武光徹等など、多くの人との出会いの中で、音楽家としての小室さんが育っていった様子が率直に語られています。

いろいろ面白いと思ったところが多かったのですが、アマチュアとして音楽を演奏する者としても、とても共感できる一節がありました。

それは、音楽の録音をしていると、「あいつ」がやってくる時に良い録音ができるのであって、「あいつ」は、一日に2度も3度も来ない、という話です。

これは、アマチュアでも、そう思います。

大体、録音は、ファーストテイクが一番なんです。演奏する皆のやる気とエネルギーは、きっと、最初の1回目に集中するんだと思います。

これは、練習でも同じですね。何度もやったからといって、良い感じになるわけではない。音合わせや、フレーズを作っていく、ハーモニーを作る、ブレークを作る、そういうことのために練習は、何回もやる必要があります。このような練習は、やればやるだけ良くなる、というものでしょう。

しかし、一度、曲の演奏、編曲等が出来上がって、一応、バンドのメンバーが演奏に慣れて、本番もOK、録音もOKとなった時の後の練習は、いくらやっても、フレッシュな時にやったものが一番のような感じがします。

ですから、ライブの前にあまり練習しすぎると、本番は気の抜けたような演奏になることが多いような気がします。もちろん、練習をたくさんすれば、「決め事」が多い曲の場合、間違いが少なくなるとは思いますが、メンバーがその曲に飽きてしまっていますので、勢いがなくなってきます。

この辺のバランスは難しいですね。ですが、実際には、我々、アマバンドの場合は、事前の練習をしないと、間違ってばかりいますので、話にならないんですが。

その他、この本は、いろいろと共感するところが多い本でした。音楽は、本当に、人生を肯定してくれると思います。上手下手は別にして、私も音楽をやることで救われてきた方です。

700円は、安い、と思った次第です。
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  by kasninoyh | 2005-07-17 23:43 | ブルーグラス・音楽の本

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