エレキとドラムをバックにしたビル・モンローの録音?
今日は、久しぶりにビル・モンロー探求です。
ビル・モンローについても、できれば、毎月何か書きたいと思っています。
ところで、今日の話題は、ビル・モンローがエレキギターとドラムをバックに歌った録音がある、というお話です。
あのビル・モンローがカントリーバンドのようなバックで歌っていると聞いたら、ちょっと驚きですが、実際に、1951年の3月と4月にナッシュビルのスタジオミュージシャンをバックに、Jimmie Rogers の曲を録音しており、その中には、エレキギターやドラム、ピアノ等が使われています。フィドルも、ブルーグラスフィドルではなく、カントリー調のフィドルになっています。
この時録音されたのは、以下の曲です。この中で、エレキやドラムが入っている曲は、*印が付いているものです。
Brakeman's Blues
Travelin' Blues
When The Cactus Is In Bloom
Sailor's Plea *
My Carolina Sunshine Girl *
Ben Dewberry's Final Run *
Peachpickin' Time In Georgia *
Those Gambler's Blues *
Highway Of Sorrow *
このような録音を行ったのは、ちょうどこの頃、Jimmie Rogers の歌が再度ヒットするような状況があり、ちょっとヒット曲のなかったビル・モンローもこの流れに乗せようとしたレコード会社の思惑があったようです。
しかし、この録音は成功とは言えず、レコード会社の Decca から発売されたのは、やはりブルーグラス的な演奏である Brakeman's Blues と Travelin' Blues だけで、他の録音はボツとなったとか。(その他の録音は、結局、数年後に発売されたり、米国では発売されなかったりしたそうです。)
これらの録音は、Bear Family Records の CD-Box セットに入っていますので、聞くことができますが、やはりエレキやドラムスのバックでカントリー的なリズムで歌うビル・モンローというのは、やっぱり間伸びした感じでちょっと違うなぁという感じです。
例えば、Peachpickin' Time In Georgia は、マンドリンでスタートするのですが、リズムがカントリーのまったりしたリズムでイメージが違います。
中でも、特に、Ben Dewberry's Final Run は、エレキギターのリードで始まり、フィドルのブレイクもカントリー風になっていて、たぶん、ビル・モンローの演奏の中でも、最も、カントリーっぽいものなのかもしれません。(ちなみにこの曲は、米国ではリリースされず、日本とオランダではリリースされているそうです。)
こうして聞いてみると、ブルーグラスのリズムが非常に独特のものであることが良くわかります。ビルも、この録音をやっている時は、きっと気持ち悪かったんでしょうね。
尚、Highway Of Sorrow は、Jimmie Rogers の曲ではなく、Pete Pyle という人の曲です。(Pete Pyle は、True Life Blues の作曲者でもあります。)この曲は、ブルーグラススタイルでも録音されています。
by kasninoyh | 2010-01-16 22:35 | ビル・モンロー探求