カテゴリ:ビル・モンロー探求( 18 )

 

恋のトラブルが歌を生む:Walk Softly on My Heart of Mine

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今年のビル・モンロー探求第1弾です。

ビル・モンローの作った歌には、女性との恋愛関係の中から生まれた歌がたくさんあります。

ビルの恋人として有名なのは、まずは、Bessie Lee Mauldin ですが、その次に現れてきたのが、Body and Soul を作詞した Virginia Stauffer です。(ビルは、彼女に対しては、Virginia Darling というインスト曲を作っています。)

そして、50台になって現れてきたのが Hazel Boone Smith という女性です。彼女も、ビル好みの美人で気の強い人だったようです。

ご多分に漏れず、Hazel とも言い争いがあったようですが、その時に、彼女がビルに対して叫んだ "Oh, walk softly, 'cause you're walking on my heart!" という言葉が、また新たな歌を作り出しています。

それが "Walk Softly on My Heart" です。

私の手元には、1969年10月28日の録音(MCA)のCDがあります。

歌詞は次の通り。

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Walk Softly on My Heart

You say you're sorry once again dear
You want me to take you back once more
You say you need a helping hand dear
But that's what you told me once before

(Chorus)
Walk softly on this heart of mine love
Don't treat it mean and so unkind
Let it rest in peace and quiet love
Walk softly on this heart of mine

I know you soon will find a new love
I feel your heart is turned to stone
But please let me down real easy
For loneliness moves in as you move on

(Chorus)


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この曲は、あまり他のプレーヤーがやっているのを聞いたことはありませんが、Ricky Skaggs が Dixie Chicks と一緒に歌ったバージョンが Ricky のプロデュースした Big Mon - The Songs of Bill Monroe というCDに入っています。このバージョンは良いですね。モーダルな曲の典型の1つでしょうか。

私の今年の課題曲の1つです。

とにかく、ビルにとって、恋人の存在は寂しさを癒してくれる上で重要だったのだと思いますが、曲を作っていく上でも欠かせない存在だったんですね。
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  by kasninoyh | 2008-01-13 14:12 | ビル・モンロー探求

Kentucky Waltz はビル・モンロー作ではない?

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本当に久しぶりに、ブルーグラスの曲についての話題です。

今日は、かの有名な Kentucky Waltz についてです。

Kentucky Waltz は、ビル・モンローの代表作の1つとされています。でも、本当にビル・モンローが作詞作曲したのかは、よく分っていないようです。

そもそも、当時は、曲に対する著作権のようなものも、確立されつつある時期だったようですし、当時の慣行としても、バンドのリーダーは、バンドメンバーが作った曲あるいは詩を自分の名前で発表する、というようなことは、よくやられていたそうです。

例えば、Uncle Pen なども、メロディーは、レッド・テイラーが作ったという説もあるようです。バンドメンバーのジャムの中から、これらの曲が生まれてくることもあったようで、実質的に共同作品だった、ということもあったのかもしれません。

Kentucky Waltz については、 Tomie Thompson という人が、自分が作詞をしてビル・モンローに提供したが、ローヤリティーをもらえなかったので、裁判を起こした、という記録もあるようです。

この裁判の結果どうなったかについては、不明だそうですが、そういうこともあったんですね。

でも、とにかく、この Kentucky Waltz がヒットしたおかげで、これに触発されて Pee Wee King らが Tennessee Waltz を作り、これを Patti Page が歌ってスマッシュヒットとなった、ということは有名なお話です。

これがステートワルツシリーズの始まりなのですが、ビル・モンローがポピュラー音楽界に与えた影響も大きかったことが伺える話です。

いずれにしても、この Kentucky Waltz は、美しいメロディーで素晴らしい曲ですよね。私は大好きです。

たとえビル・モンローが100%作ったわけではないにしても、この曲を広めたは彼なことは間違いないことですから、素晴らしいことです。

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  by kasninoyh | 2007-11-14 00:00 | ビル・モンロー探求

ビル・モンローのマンドリンの名曲:Raw Hide はどうやって出来た?

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このブログでは、現在活動しているブルーグラスミュージシャンに焦点を当てるようにしているのですが、同時に、Father of Bluegrass Music の Bill Monroe について、逸話などを取上げていきたいと思っています。

そこで、今日は、ブルーグラスのマンドリン曲の代表曲、Raw Hide を取上げたいと思います。

Raw Hide というと、一般の人は、西部劇テレビの「ローハイド」のテーマ曲、「ローレン、ローレン、ローレン」を思い浮かべます。

私も最初はそう思いました。でも、もちろん違います。

この曲が作られたのは1950年前後のようなのですが、ビル達がアメリカのあちこちをツアーして回る間、ツアーしているバスの中でジャムをやっていて、その中から新しい曲が生まれたりしていたようです。

このマンドリンの名曲、Raw Hide もそういう中から生まれた曲だそうで、ビルが適当にCのコードでメロディーを作り始め、当時、一緒にツアーをしていたジミー・マーティンがパンクチュエーションやコード進行などを提案したりして、出来て行ったようです。

出来上がったところで、何と言う名前にするか、ということになり、"Big Mac" という案も出たそうですが、ビルは、結局、当時はやっていたウエスタン映画 "Rawhide" の名前を取った、ということのようです。

この映画の Rawhide は、60年代のテレビシリーズの Rawhide とは違います。でも、西部劇ということでは同じジャンルです。

ちなみに、映画やテレビシリーズの「ローハイド」は、Rawhide と綴られますが、マンドリン曲の方は、Raw Hide と綴られることが多いようです。

ビル・モンローやジミー・マーティンが、狭いバスの中で、旅の途中にジャムをやっていく中から曲ができてくる、ということや、インスト曲の場合、歌詞がないので、名前の由来がいろいろあることなど、おもしろいですね。
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  by kasninoyh | 2007-05-08 00:37 | ビル・モンロー探求

ビル・モンローの曲: With Body And Soul


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今日取り上げるビル・モンローの曲は、"With Body And Soul" です。

この曲は、なくなった彼女のことを歌った歌なのですが、"Body And Soul" というタイトルが、何と言うか、妙に即物的で興味をかき立てられます。メロディーも、パワフルです。

ビル・モンローのレパートリーの中でも、モーダルな曲の代表作の1つではないかと思うのですが、実は、この曲は、ビル・モンローの自作ではないようです。

ということで、今日のテーマは、この曲の中身というより、その作者についてです。

この曲は、Virginia Stauffer にクレジットされています。100%確かではないのですが、詩も曲も作ったのは、 Virginia Stauffer のようです。

この Virginia Stauffer は、ビル・モンローの「友人」の一人、ということになっているのですが、Bessie Lee Maulden との間が冷却していった後に、ビルの前に現れた女性ということでもあるようです。

とにかく、スターのビルの周りには、多くの女性が現れます。でも、Virgina は、魅力的な女性でもあったようですが、素晴らしい曲を創作する力もある知的な女性でもあったようです。

この曲 は、以前にこのブログでご紹介したニューヨークのローカル・ブルーグラスバンド Straight Drive のリードシンガー Jen Larson がよく歌っていました。彼女のパワフルな歌が非常に印象に残っています。

Seldom Secene も、彼らのアルバム Act 1 に収録しています。

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Virginia は、With Body And Soul 以外にも、I Live in the Past 等を作っています。

この I Live in the Past なども、あまり演奏されませんが、とても良い曲です。

ビルは、Virginia を讃え、お返しとして作ったインストルメンタル曲が、 Virginal Darling です。

最近では、若手フィドラーの旗手、マイケル・クリーブランドが録音しています。


With Body And Soul

See that train coming round the bend,
Carrying the one that I love
Her beautiful body is still here on earth,
But her soul has been called up above

(Chorus)
Body and Soul, Body and Soul,
That's how she loved me, with Body and Soul

Her beautiful hair was the purest of gold,
Her eyes were as blue as the sea,
Her lips were the color of summer's red rose,
And she promised she would always love me
(Chorus)

Tomorrow as the sun sinks low
The shadows will cover her face
As her last sun goes down, she's laid beneath the ground
And my teardrops are falling like rain
(Chorus)

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  by kasninoyh | 2007-03-03 23:27 | ビル・モンロー探求

ビル・モンローの曲:Walls Of Time (2)

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Walls Of Time は、ビル・モンローの名曲の1つだと思いますが、この歌は、ちょっと変わった「凄さ」を持っています。(もちろん、ピーター・ローワンとの競作ですが。)

まず、表題の Walls Of Time というのは、どういう意味なんでしょう。

この言葉は、2番に出てきます。

I hear a voice out in the darkness
It moans and whispers through the pines
I know it's my sweetheart a callin'
I hear her through the walls of time


暗闇の向こうに声が聞こえる
松林の中をうめきながら、ささやくように
あれは彼女が呼ぶ声
彼女の声が時間の壁を通じて聞こえる


何と訳したら良いのか、適当な言葉が見当たりませんが、このようなどこか「嵐が丘」のような感じの歌詞を持ったブルーグラスの曲も少ないのではないかと思います。

Walls Of Time と Walls が複数になっているのも、どういう意味なんでしょう。

3番に至ると、「鬼気迫る」というような感じもします。

Our names are carved upon the tombstones
I promised you before you died
Our love will bloom forever darling
When we rest side by side


私たち二人の名前は墓石に刻まれている
あなたが死ぬ前に約束したとおりに
二人の愛は永久に花開く
二人寄り添って休む時に


ますますもって、イギリスの古い崩れかけたマンションの裏手にある墓石といったイメージがピッタリ来るような気がします。

この歌についての解説もあまりないので、本当の意味とかはわかりません。もしご存知の方がいらっしゃったらご教示ください。

とにかく、我々は、そのまま味わいながら歌うことにしましょう。

でも、この歌は、歌詞の中身も難しいけれど、歌うのも難しい曲ですよね。
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  by kasninoyh | 2007-01-07 23:12 | ビル・モンロー探求

ビル・モンローの Walls of Time (1)

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ビル・モンロー「ブルーグラスの父」として、当然、偉大なのですが、年々歳を経ると、そのすごさが分ってくるような感じがしています。

そういえば、昨年(2006年)は、ビルが亡くなって10周年でした。

というわけではないのですが、今年は、昨年よりもう少し踏み込んでビル・モンロー探求をしてみたいと思っています。

でも、実は、ビル自身の録音を聞いていても、そのすごさがわからないことが多いです。やっぱり、録音が洗練されていません。時には、まったく練習なしに録音したりしていたようです。

リッキー・スキャッグスがきれいにアレンジして聞かせてくれて、初めて「すごい」と分ったりします。

そんな曲の1つに "Wall Of Time" があります。

以前にも書いたことがあるのですが、リッキー・スキャッグスのアルバム Ancient Tones の一番最初に入っているこの曲を聞いて、その良さが始めてわかりました。

この曲は、ブルーグラス・ボーイズがツアーに使っていたおんぼろバスが故障して時間ができた時に、ビル・モンローとピーター・ローワンが一緒に作った、と言われています。

ビル・モンロー自身の録音は、1968年11月のデッカ版があります。

この頃のブルーグラス・ボーイズには、ピーター・ローワンはもういなくて、代わりにローランド・ホワイトが入ってリードを歌っています。

この時のバンドの写真が上の写真ですが、ローランドは、ビルの隣だとやけに小さく見えますね。

この録音を改めて聞きなおしていみると、結構、いいですね。ケニー・ベーカーがフィドラーとして戻ってきていた頃なので、そのせいもあるんでしょうか。

ただ、基本的にメジャーコードで弾いているので、モーダルな感じがあまり出ていないのが残念です。

リッキー・スキャッグスの Ancient Tones の録音は、モーダルな音調をうまく出しているので、非常に魅力的に聞こえるんでしょう。このモーダルな感じが、ビル・モンローが出したかった音なんではないかと思うのですが...

それにしても、ブルーグラス・ボーイズというのは、メンバーがしょっちゅう入れ替わっていて忙しいバンドですね。
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  by kasninoyh | 2007-01-05 23:46 | ビル・モンロー探求

ビル・モンローの曲:Rocky Road Blues (その2)

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今日も、ビル・モンローが、1945年にコロンビアで最初に録音した名曲、Rocky Road Blues についての話の続きです。

この録音は、現在の確立されたブルーグラスから見ると、ちょっと変わっています。

なによりアコーディオンが入っています。

それもサリー・アン・フォレスターという女性が弾いていました。アコーディオンが入っていることも変わっていますが、女性が入っていることも珍しいことです。ただし、現在から見れば変わっている、ということです。

バンジョーもコメディアンのストリングビーンが弾いています。

でも、ビルのマンドリンは、最初のキックオフもブレークも、音が1つ1つ明確ですし、素晴らしい演奏だと思います。(やっぱり、若い頃のビルのマンドリンは素晴らしい!)

ところで、この曲は有名なのに、カバーしている人は案外少ないような気がします。

リッキー・スキャグスがプロデュースした Big Mon (2000年)というCDに、デュエイト・ヨーカムが現代的な解釈で録音していますが、これはいいですね。
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  by kasninoyh | 2006-08-16 23:39 | ビル・モンロー探求

ビル・モンローの曲:Rocky Road Blues(その1)

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このブログでは、ブルーグラスについて種種雑多のことを書き連ねていますが、ブルーグラスのプレヤーについては、特に、現在活躍している現役のミュージシャンを中心に、それもできるだけ若い世代に焦点を当てているつもりです。

しかし、もちろん、ブルーグラス第1世代の人達について触れないということではなく、特に、ビル・モンローについては、ブルーグラスの創始者ということもあり、特に興味を持ってフォーカスしています。

ということで、これまでも、ビル・モンローの曲については、少しづつ書いてきたのですが、これから、ビル・モンローの主要な曲を1つ1つ取り上げながら、その背景や特徴、まつわるお話などを書いていきたいと思います。

                  ★   ★   ★

とりあえず、今日は、ブルーグラス・ボーイズの最初のコロンビアでのレコーディング・セッションで、最初に録音された曲-Rocky Road Blues についてです。

このコロンビア・レーベルでの最初のセッションは、1945年2月に行われています。そこで一番最初に録音された Rocky Road Blues は、「他の男に俺の女を取られた。神様、俺の女を返してくれ」といった、たわいのないと言えばたわいのない失恋の歌です。

この歌は、ビルの自作とされていますが、これは、ビルの恋人だった Bessie Lee Mauldin が、ビルの許を離れて、恋敵となる Nelson Campbell Gann と結婚した、という事実がきっかけとなって作られたそうです。

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ビルの一生の中で、この Bessie の存在はとても大きく、その関係は、ついたり離れたりしながら、ずっと後まで続きます。実際、彼女は、ブルーグラス・ボーイズのベーシストでもありました。

ビルには、Carolyne Minnie Monroe という奥さんが居たのですが、人気のあるミュージシャンの常なのでしょうか、女性関係はいろいろあったようです。その中でも、 Bessie は、特にビルが強く思いを寄せた女性です。この人との関係で、いろいろトラブルが起こるのですが、そのたびごとに名曲が生まれています。

Rocky Road Blues も、その Bessie Songs の1つです。しかし、考えてみると、Bessie がビルの許を去ったというのもうなずけないことではなく、いつまでたっても、奥さんのいるビルと結婚できるわけでもないわけで、適度なところで落ち着きたい、と考えたとしても当然のことかもしれません。

とにかく、いつでも、恋愛、失恋は、芸術作品の元なんですね。

(つづく)
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  by kasninoyh | 2006-08-15 23:41 | ビル・モンロー探求

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